昨今の経営環境を鑑み、経費削減を考えている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
平常時であれば、自社のコスト削減を後回しにしてもあまり問題はないかもしれません。実際、2019年に株式会社Leaner Technologiesが発表した「間接領域における意識調査」では、「経営陣がコスト削減に関心を持っている企業は9割を超える一方で、半数以上が主体的な取り組みは実施していないことが明らかとなった」という結果が出ています。
しかし、経営環境が大きく変わっているいまこそ、経費を真剣に見直すよい機会ではないでしょうか。
この記事では、経費削減のポイントやアイディアについて解説します。
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そもそも経費削減とはなにか
経費削減とは字のとおり、経営にかかる費用を削減することです。よく、コスト削減・コストカットなどともいわれています。
経費削減とよく似た言葉に経費「節減」という言葉がありますが、これは経費削減の前段階のこと。節減の例をあげると、裏紙をメモ用紙にする・使わない電気をこまめに消すなどです。細かい費用の発生をおさえることが、経費節減だと考えていただくといいでしょう。
一方で経費削減は、ある程度、まとまった成果を実感しやすいものを指します。たとえば、オフィスを移転して家賃が安い場所に移るなどが、経費削減です。
経費削減のポイント
ここからは、経費削減を行なう際のポイントについてお伝えします。
経費削減の目標を決める
経費削減の目的は、無駄な費用をおさえて利益をあげること。無駄な費用について社内で調査し、経費削減のために数値に落とし込んでいきます。このとき、経費削減によって何を実現したいのかを明確にしておこことが、経費削減を成功させるポイントです。
なぜなら、経費削減の目的があることで従業員からも納得感が得られ、経費削減への意欲が高まるためです。従業員の意欲が高まれば、経費削減の取り組みが継続・自律して行なわれるようになり、結果的に経費削減が成功しやすくなります。
自社内で進められることを優先する
経費削減で、社外を巻き込むのはとてもハードルが高いものです。
経費削減になるからといって、いままで行なっていたサービスを突然やめてしまうのは、クライアントからの信用問題にかかわります。
本当に不要なサービスであれば、やめることも検討しなければいけませんが、まずは自社内でできることから経費削減を進めましょう。
経費削減に対する経営者と従業員の意識の違いを認識する
経営者にとって、経費削減とは利益に直結するため意欲的に取り組むことができます。一方、従業員にとって経費削減とは、取り組んでもすぐに給与に反映されるものではありません。また、経費削減プロジェクトによって一部の従業員にとっては仕事が増える可能性も。
「経営者と従業員は経費削減の意識が違う」という認識で、経費削減を推進する必要があります。
やってはいけない経費削減とは
経費削減の中には、やってはいけないものも存在します。
実行しようとしている経費削減が、以下の2つにあてはまらないかチェックしてから行なうようにしましょう。
- 自社サービス低下を招く経費削減
- 従業員の労働意欲が低下する経費削減
1つ目の自社サービスの低下を招く経費削減とは、たとえばアパレル製造の場合、仕入れ単価が安いからといって生地を品質が劣るものに変えてしまう、などがあげられます。
2つ目の従業員の労働意欲が低下する経費削減とは、オフィスのエアコンの温度を電気代節約のために不快な温度のままにするなどです。結果的に、従業員が熱中症になったり、仕事に集中できず生産性が下がり、余計に経費がかかる可能性もあります。
経費を削減するアイディア
ここからは経費削減をするアイディアを箇条書きでお伝えします。取り入れられるものから取り入れてみてくださいね。
人件費
- 業務を標準化してマニュアルを作成する
- 研修をして従業員のスキルをあげる
- 会計ソフト・経費精算システムなどITツールを導入する
- 経理をアウトソースする
事務経費
- 契約書や領収書を電子化し、ペーパレス化する
- ウェブで資料を共有する(ペーパレス化)
- 無駄なカラー印刷は使用しない
- 消耗品をオンラインショップで購入し、ポイントを活用する
- 新聞・雑誌などの定期購読を解約し、電子書籍の読み放題プランなどに変更する
- なるべくオンラインで書類のやりとりをする
- 社員の給与などは同一銀行に指定し、振込手数料がかからないようにする
水道光熱費・通信費
- 水道光熱費の契約プランを見直す
- 照明をLED電球に変える
- 電話の加入プランを見直す
- Wifiなどのインターネット加入プランを見直す
- インターネットや電話の不要なオプションを解約する
旅費交通費
- 通勤定期代は3ヶ月や6ヶ月単位で購入する
- 出張は最低限にし、オンライン会議などを取り入れる
- タクシーの利用は事前申請制にする
まとめ
自社には経費を削減する余地がないと思っていても、ひとつひとつ見直してみれば意外と削減するものが見つかります。無駄を見つけたら、迅速に削減しましょう。
しかし、本当に必要なところには経費をかけることも大切です。なんでも経費削減をしていると、社員のモチベーション低下や自社サービスの品質低下にもつながりかねません。あくまでも経費削減は、最適化するというスタンスで進めるとよいでしょう。