コロナ禍で例年以上に歳出を国債で賄うようになった去年、このように主張して債務膨張による不安を払しょくしようとする人が増えたようです。
国債も借金の1つです。
いずれ民間に国は利息をつけて返済しなくてはなりません。
借金が1000兆円前後になり、「日本の累積債務残高は世界一」と言われるのに、なぜ大丈夫とMMTは言い切れるのでしょうか。
そもそもMMTとは何でしょう?
MMTを日本語訳すると「現代貨幣理論」です。
経済理論というよりも貨幣の捉え方に関する理論です。
通常の経済理論では貨幣を「価値の保存」「交換手段」「価値の尺度」と捉えます。
一方、MMTは国と中央銀行が一体不可分の存在であるとした上で「国(+中央銀行)の両者からの支出が貨幣である」と考えます。
つまり、民間での経済活動が先なのではなく「国があって初めて貨幣が存在する」のです。
そして、納税を通じて貨幣が「通貨」となる、としています。
米ドルでの納税は日本ではできません。
だから米ドルは日本の通貨ではありません。
しかし日本円は日本での納税で使えます。
納税で使えるということは日本国内で使えるということを意味します。
だから日本円は日本の通貨です。
「日本の政府が信用できるから日本円は信用できる」ではありません。
「日本政府+中央銀行が通貨を市場へ供給し、その一部が国債となります。
最終的にはいずれも税を通じて回収して破壊されます。
日本という国が発行して回収する唯一の貨幣が日本円です。
だから日本円は『日本での決済手段として使える』とみなされるのです。
このように考えます。
「いくら財政赤字でも問題がない」とするのは一般的な借金と国債とでは性質が違うからです。
一般的な借金は債務者自らが発行したものではありません。
日本円なり米ドルなり、他者が発行した通貨である。債権者が「引き上げる」といったら債務者は返済するか、破綻するしかありません。
一方、国債は債務者自らが発行した通貨です。
債権者は国民や民間の金融機関であるが、彼らは通貨の使用者でもあります。
借金と言いつつ、立場で強いのは債務者側です。
だから破綻のしようがないというのです。
そしてMMTでは財政赤字を忌避する方がむしろ将来のツケが大きくなるとします。
通常、財政赤字がひどくなると緊縮財政になります。
実際、国立大学への運営交付金は年々削られ、病院のベッド数も著しく減りました。
将来の日本の価値や安心につながる土台が先細っているのでしょう。
むしろ、財政出動を増やし、将来の価値を生む基盤を強化するべきだとするのがMMTであるはずだ。