毎月の試算表作成を早期化し、経営判断のスピードをあげたいとお考えではないでしょうか。
試算表の早期化は経理を仕組化し効率をあげることで実現します。
自社の経理がなぜか煩雑になってしまっている場合は、経理を見える化して効率をあげるための手を打つべきです。
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経理を効率化するべき理由
少し前まで経理業務はまわりから業務の詳細が見えづらく、なかなか業務改善のメスが入らない部署でした。
経理の前任者から「うちの経理はこのようにするのがルールだから」と何十年も前から全く変わらないフローで業務が行われていることも珍しくありません。
たしかに少し前までは経理を根本から効率化するノウハウもシステムもほとんどなく、効率化がむずかしい状態でした。
しかし時代は変わり、経理業務はおどろくほど効率化できます。
ここからはなぜ経理業務を効率化するべきなのか具体的な理由を解説します。
スピーディーに経営判断を下せる
前月の試算表はできるだけ早く確認したいですよね。
正しい試算表がスピーディーに手元に上がってくれば、角度の高い経営判断をすることができます。
しかし現状では試算表があがってくるのは翌月末頃、という会社もめずらしくありません。中には数ヶ月遅れてあがってくるなんてことも。
このような状況を変えるために経理フローを見直し効率化してしまいましょう。
ムダな作業をなくし、同じ作業はまとめ、仕組みを整えれば試算表の早期化は必ず達成できますよ。
経理の属人化やミス・不正リスクを減らせる
中小企業では経理担当者が1人ということもめずらしいことではありません。
経理担当者の人数が少なくなるとどうしても業務が属人化してしまいます。
経理は会社の信用にも関わる部署。もしその担当者が突然何らかの理由で出社できなくなった場合、会社にとっては大きなリスクです。
また、特定の社員しか分からない業務があるとミスのチェック機能がありません。不正・隠蔽のリスクも高くなります。
経理を効率化し、業務フローを整えることで属人的な業務フローが改善され、経理担当者が突然退職した場合でも業務が回る仕組みにしておくことができます。そしてフローに対するチェック機能を持たせることも可能。
その結果ミスを防げるだけでなく、不正や隠蔽のリスクも減らせるでしょう。
ITの進化とともに経理業務が格段に効率化しやすくなっている
ひと昔前までは仕訳伝票を作成・各帳簿に転記し、決算書を作成する作業がありました。
これらを紙ベースで作り上げてくため、経理担当者はある種の職人のような職種でした。
しかし今は経理で使えるITツールも発展し、システム上で請求書作成などの事務作業をすれば自動的に仕訳が登録され、各帳簿にデータも反映されます。
請求書作成で打ったデータを仕訳登録で打つといった二重作業をなくし、経理業務のむだをなくすことができます。
経理が非効率になってしまう理由
経理が非効率になってしまう理由はおもに下記の3つ。
- 経理がガラパゴス化していること
- 経理と経営者の試算表に対する認識の違い
- 日々の業務が忙しすぎる
ここからはなぜこのような理由から経理が非効率になってしまうのか解説します。
何年も同じ業務フローが引き継がれている
経理は正しく処理ができて当然の仕事で、ミスがなくてあたりまえの部署。そのため経理担当者はどうしても保守的な考え方になってしまうことが多いです。
経理担当者が引き継ぎを受けるとき、前任者のやり方が非効率だと感じたとしても自分で業務フローを変更してしまうといつどこでミスが発生してしまうか分かりません。
そのようなリスクをとって信用を失うよりも、今までミスがなかった現状のフローで運用した方がいいと判断するのは当然です。
その結果、経理まわりのITツールなどが発展しているのにも関わらずいつまでも同じフローで経理業務が行われています。
経営者と経理の試算表に対する認識が違う
経理は正確さが求められる仕事。
経理担当者は1円単位まで数字を合わせるため、必死で残業し何度も数字をチェックして試算表を完成させます。
しかし経営者は1円単位までしっかり合った試算表が月末に提出されるよりも、上3桁の数字がざっくりでも分かる試算表を一刻も早く確認したいと考えているのではないでしょうか。
もちろん正しい数字の試算表を作ることは大切ですが、経営判断が遅れ会社の成長に影響してしまうのであればやり方を変えなければいけません。
業務が忙しく仕組みを変える時間がとれない
最後に経理担当者自身も経理の非効率さに気が付いているけれど、業務が忙しすぎて効率化まで手が回らないこともよく聞く話です。
忙しくて効率化を後まわしにし、そのまま業務量が増え、新しい人を採用しまた従来通りのフローで業務を回してしまうなんてことも。
業務が忙しすぎるとこのような悪循環に陥ってしまうのも経理が非効率になってしまう原因です。
経理を効率化する6つの方法
経理はある程度決まった業務をルーティーンで行うため、うまく工夫をすれば大幅な改善ができる部署です。
近年発展しているITツールを使えばより効率的に業務をまわすことも可能。
ここからは個人レベルで効率化できる方法から、会社全体で取り組む効率化の方法までをくわしく解説します。
後半に向かうにつれて大掛かりになるため、まずは1から改善をスタートしてみてもいいでしょう。
1.ショートカットキーを使う
経理担当者個人レベルで効率化できる方法です。パソコンの基本操作でショートカットキーを使っていない人は意外と多いもの。
ショートカットキーを使いこなすだけで経理の入力作業効率はアップします。
2.パソコンのディスプレイをデュアルモニターにする
デュアルディスプレイとは複数のパソコンディスプレイのこと。
たとえばディスプレイを2台使い、1台はインターネットバンキングの明細を表示、もう1台は会計ソフトを開いて明細を確認しながら入力することができます。
ディスプレイが1台だと何度も画面を切り替えて確認しながら作業を進めるため、作業がはかどりませんよね。
デュアルディスプレイにすることで、快適に業務を進めることができるでしょう。
3.経理業務を見える化する
経理業務を業務ごとに見える化します。たとえば請求・支払い・経費精算…といった業務ごとに業務フローを書き出します。
具体的には各業務で使うシステム、担当者、処理件数などを全て書き出します。
このように経理フロー全体を見える化することでムダや二重作業などを発見しやすくなりますよ。
4.キャッシュレス化する
キャッシュレス化とは小口現金をなくすこと。小口現金がなくなれば現金を管理するコストが必要ありません。
小口現金があると、両替・現金の補充・現金出納帳の記入・金種チェック・金庫の管理などの業務がほぼ毎日発生します。
小口現金残高と現金出納帳の残高が合わなければ原因を調査する時間も必要です。
経費精算は口座振り込みにする、代引きの取引は振り込みにするなどで小口現金をなくすことができますよ。
5.クラウド会計ソフトを活用する
クラウド会計ソフトを利用すれば銀行明細データが自動で会計ソフト上に更新されます。
わざわざ明細を手入力する必要がないため、残高がずれるなどのミスもなくなります。
また、請求書を作成すれば仕訳が登録できているなどの仕組みも。
freeeなどの一部の会計ソフトは「経理ソフト」と呼ばれているほど、経理を効率化することを考え抜かれたシステムになっています。
クラウド会計ソフトを導入すれば大幅に経理の効率化が進むでしょう。
6.経理をアウトソースする
経理を本気で効率化したいならアウトソースするという方法があります。
アウトソースするためには社内の経理業務を整える必要があり、自然と業務フローを見える化・効率化することができます。
そしてクラウド会計ソフトや経理ツールの導入などから経理のアウトソース会社がサポートしてくれるため、とてもスムーズに経理を効率化することができるでしょう。
まとめ
個人レベルで効率化できることから、会社レベルで対応しなければいけないことまでご紹介しました。
経理業務を効率化できれば、必ず経営判断の早期化につながります。
クラウド会計ソフトを導入したり、経理をアウトソースすることは一時的に大きなリソースを使いますが、本気で経理を効率化したいのであれば選ぶ価値があるでしょう。