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企業は自由に「内定取り消し」ができる?注意点やデメリットも解説

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内定取り消しは、対応方法を間違えると裁判にも発展するなど、とても繊細な行為です。

この記事では、内定が雇用契約として認められる理由や、内定取り消しが認められるケースの事由、内定取り消しによる企業側へのデメリットについて具体的に解説します。

内定取り消しとは

内定取り消しとは、採用内定している人が実際に働きはじめる前に、企業が採用を取り消すことを指します。

内定は雇用を保証する労働契約と解釈されていますが、実際には労働基準法で定められているものではありません。

また、企業都合による内定取り消しは一方的な契約破棄になるため、合理的な理由がないかぎり認められません。

そもそも内定ってなに?

内定は「始期付解約権留保付労働契約」です。「始期付」がついているのは、内定してから実際にはたらき始めるまでに一定の時間をようするため。「解約権留保付労働契約」になっているのは、入社までにやむを得ない事情が発生した場合に、内定を取り消すことがあるためです。

つまり、「始期付解約権留保付労働契約」とは条件付きの労働契約といえます。

一般的には企業から求職者へ「内定通知書」を渡し、求職者からは「内定承諾書」を交わして内定となります。このような書面を交わさず、口約束でも内定は成立しますが「言った、言わない」のトラブルを回避するためにも、書類を取り交わしておくと安心です。

内定と内々定の違い

内々定とは、内定がでる前に企業から求職者に伝えられる、口約束のようなもの。主に新卒採用時に使われることばです。

内定と内々定の違いは「労働契約が成立しているかどうか」の違いです。一般的には内々定のときには労働契約が発生していないと考えられ、内定を承諾した時点で労働契約が成立したと考えられます。しかし、これらは企業と求職者との間で、どのような約束がかわされたのかにもよるため、実態に基づいた対応が必要です。

ちなみに内々定のときには、求職者も企業も内々定の取り消しをすることができます。しかし、企業側が「内々定だから」といって簡単に取り消しをすると、企業のイメージを損なうことが考えられるため慎重な対応が必要です。

企業は内定取り消しを自由にできるの?

企業による内定取り消しは、労働契約が成立していると認められることから、「解雇」とみなされます。労働契約法第16条「解雇権の濫用」が適用され、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、内定取り消しは無効です。そのため、企業は自由に内定取消しをすることはできません。

内定取り消しが有効とされるのは、原則として以下の場合に限られるとされています。

  • 求職者都合による内定取り消し
  • 企業側都合による内定取り消し

こちらについて、次の項目で詳しくお伝えします。

 

内定取り消しが成立するパターン

前述のとおり、内定後は労働契約が成立しているため、自由に内定を取り消すことはできません。

しかし、過去の判例などでは客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められる場合には、内定取り消しができるとされています。

では具体的にどのような場合に、内定取り消しをすることができるのでしょうか。

求職者都合による内定取り消し

  • 求職者が内定を辞退した
  • 新卒採用予定者が学校を卒業できなかった
  • 求職者の病気やけが
  • 求職者が逮捕された

このような場合には、内定を取り消しの理由として認められることが多いです。しかし、実際に内定を取り消す場合には、各ケースが労働基準法などに適用しているかどうか確認・判断する必要があります。

企業の経営悪化による内定取り消し

企業の経営悪化による内定取り消しは、「整理解雇の4要件」を満たす必要があります。整理解雇の4要件とは以下のとおりです。

  • 人員整理の必要性
    どうしても人員を整理しなければならない経営上の理由があること。
  • 解雇回避努力義務の履行
    希望退職者の募集、役員報酬のカット、出向、配置転換、一時帰休の実施など、解雇を回避するためにあらゆる努力を尽くしている
    こと。
  • 被解雇者選定の合理性
    解雇するための人選基準が評価者の主観に左右されず、合理的かつ公平であること。
  • 解雇手続きの妥当性
    解雇の対象者および労働組合または労働者の過半数を代表する者と十分に協議し、整理解雇について納得を得るための努力を尽くしていること。

参照:日本の人事部

企業はこのような4つの要件を満たす必要があるため、内定を取り消すためにはかなり高いハードルがあるといえるでしょう。

 

企業が内定取り消しをするデメリット

さまざまな理由で内定取り消しをするにしても、内定取り消しは企業に大きなダメージを与える可能性があります。では、内定取り消しは企業にどのようなデメリットがあるのでしょうか。

企業の信用に関わる

内定取り消しによって、一方的に働く機会を奪われた求職者は新卒・中途採用者問わず、彼らの人生に大きな影響を与えます。そのため、企業が求職者に対して不誠実な対応をしてしまうと、内定取り消しをめぐり法廷で争うことにもなりかねません。

また、最近ではSNSで個人が情報を発信できるようになりました。そのため、内定取り消しに対する企業の不誠実な対応が、企業名とともに拡散されるリスクもあります。

内定取り消しが行為が企業の信頼に大きく影響を与えるということを、強く意識しておく必要があります。

コストがかかることがある

判例をみると、内定取り消しをする際に、企業側が求職者に対して相当の保障を打診していることがあります。

このことから、内定取り消しは当初予定していた採用コストにプラスで、コストがかかるといえるでしょう。

 

まとめ

内定取り消しは、対象者やその家族にとって大きな影響を与えてしまうものです。そのため、できる限り避けなければなりません。

しかし、やむをえない場合には適切な手続きを踏むとともに、対象者に対して誠実な対応とフォローを心がけるようにしましょう。

 

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