国際結婚が多様化して、日本人に見えても外国籍の方がいる一方で、外国人に見えても日本国籍の方もいます。
2016年8月、民進党(日本)の代表選を控えた蓮舫氏が日本と台湾(中華民国)
ここで初めて「二重国籍」という事態を知ったという方もいらっしゃったのではないでしょうか?
米国法は、出生により二重国籍を取得したアメリカ人や、子供の時に第二の国籍を取得したアメリカ人に対して、成人したらどちらかの国籍を選択しなければならないという特別な決まりを設けていません。(Mandoli v. Acheson, 344 US 133 [1952]参照) つまり、現行の米国国籍法は二重国籍について特に言及していません。
米国政府は二重国籍の存在を認め、アメリカ人が他の国籍を持つ事を認めてはいますが、その事が原因となって問題が生じることがあるので、方針としては二重国籍を支持していません。〜在日米国大使館・領事館HPより〜
以上のように、米国ではこのように定められていますが、
他の国では、成人したらどちらかの国籍を選択する必要があったり、
実はその国によって、国籍に対する考え方が国ごとに違うのです。
日本で「二重国籍」という事態が発生する二つの原因
各国で国籍法の調整がされていない
お金の動きであれば、重要問題になりかねませんが、
国籍は身分なので、国の文化、慣習が色濃い反面、それほど大事な事項ではないために、国家間の調整がされていないことが多いようです。
日本では、罰則がない
日本の国籍法で二重国籍に対して罰則がありません。
日本の国籍法は、重国籍の人については、未成年のときは国籍を選択しなくてよい(国籍留保)が認められています。
国籍留保した場合、成人した時に国籍を選択するわけですが、この時点で既に他国で国籍を保有している場合は、その外国籍を離脱しなくてはならないことになっています。
日本国政府も重国籍であることを認識していない場合もあります。
さらに、もし外国籍を離脱をしないまま、重国籍を放置したからといって罰則はありません。二重国籍が発生してもおかしくない状況なのです。
二重国籍だった場合、海外でも納税義務が発生するのか?
二重国籍だけど日本に住んでいて、日本でしか稼いでいないから、外国では何もしなくていいかと言ったらそうではなく、法律はそう単純ではありません。
納税がないからといって手続きまでしなくていいわけではありません。
例えばアメリカの場合、形式上は納税義務があります。
米国の税法は国籍基準(属人主義)を採用しています。
「米国の国民ならば、世界のどこに住んでいようと米国で申告納税をすべきだ」という制度です。
ただし、実際にその通りに執行すると、日本に在住する米国籍の人で日本でしか発生していない所得についても課税徴収することになってしまいます。
これは日本の課税権の侵害だけでなく、日本の領域侵害にもつながり、
「各国の主権は平等であり、各国は他国の主権を尊重する義務がある(内政不干渉義務)」という国際法のルールに米国が違反してしまうことになります。
日本にしか住んでおらず、日本の公的サービスしか受けていない人間に対して、米国籍だけを理由に「米国で税金を納めろ」ということはできません。
そのため、実際の課税の執行については居住地基準(本国の居住者か非居住者かに分け、それぞれの課税対象となる所得を区分するための基準)に従っています。
一口に外国と言っても様々な国があり、一概には断定できません。
日本を含めた多くの国では、どこに住所または居所があるか。
そして、どこで所得が発生しているか。
を実質で判断し、課税を行います。
そのため、現実には、どの国を生活の拠点としているかで納税義務を考えます。
日本国籍があっても米国に長期滞在し、そこでの所得しかない場合については米国で納税するのが原則です。
二重国籍だけど日本に住んでいて、日本でしか稼いでいないから、外国では何もしなくていいかと言ったらそうではなく、法律はそう単純ではありません。
納税がないからといって手続きまでしなくていいわけではないのです。
さらに、面倒なのは相続。
出生から死亡まで日本を一歩も出たことのない日本人が米国籍だった場合、法定相続人の範囲や順位、法定相続分といった相続の仕方は全て米国法に従うことになります。
「日本の法の適用に関する通則法」によると、「相続は、被相続人の本国法による(第36条)」と定められているからです。
一般人で片づけられる問題ではなくなり、現地の専門家を探さないといけません。
さらにこれが二重国籍だった場合は厄介です。
米国と日本のダブルスタンダード状態で相続が行われることになるためです。
手続きは通常の倍以上の労力がかかることになるでしょう。
まとめ
パスポートの問題など、いざというときに足を引っ張る原因になりかねないのが二重国籍の問題です。
現時点で日常生活に支障がないとしても、「そういえば両親が国際結婚で…」と気になるのならば、早めに確認して、対処をしておく方がいいかもしれません。