ひとつの取引先に対して、売掛金と買掛け金が発生することがあります。
このような場合、振込などの経理処理を簡略化するために売掛金と買掛金を相殺したいと思うこともあるでしょう。
では、請求金額は相殺することができるのでしょうか。この記事では、請求書の相殺についてくわしく解説します。
請求金額を相殺することができる
結論からお伝えすると、ひとつの取引先に対して売掛金と買掛金が発生している場合、請求金額を相殺することができます。
ただし、両者間で合意ができている場合に限ります。同じ取引先に売掛金と買掛金が発生しているからといって、勝手に相殺していいわけではありません。
請求金額を相殺するときの注意点
ここからは、請求書を相殺する際の注意点を3つお伝えします。
請求書に記載が必要
相殺をした際には、その事実が確認できるように請求書などに記載しておくようにしましょう。具体的には、請求書にマイナス記載をし、いつ・どのような取引に対して相殺処理を行なったのか明らかにしておきます。
このように適切に処理しておくことで、後日起こりやすい「入金がまだない?」「この請求書は支払済み?」といった両者間のトラブルを防ぐことができます。
相殺領収書が必要になることも
売掛金と買掛金を相殺した場合に、相手から相殺領収書を要求されることがあります。これは、相殺したという事実があったことを証明するためです。
また、基本的に相殺は金銭が動いているわけではないため、簡単なものでいいとされています。金銭の動きがある場合に発行される領収書に必要な「収入印紙」も、相殺の場合は必要ありません。
仕訳入力も注意が必要
仕訳は具体例でお伝えします。
たとえば、A社との間に売掛金100万円、買掛金60万円があったとしましょう。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
売掛金 | 100万円 | 売上 | 100万円 | A社 |
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
仕入 | 60万円 | 買掛金 | 60万円 | A社 |
ここまでが通常の仕訳です。
ではA社から買掛金分が相殺され、入金された場合の仕訳はどうなるのでしょうか。
答えは以下の仕訳のようになります。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 | 摘要 |
売掛金 | 100万円 | |||
買掛金 | 60万円 | ○月分A社相殺分 | ||
預金 | 40万円 |
相殺があった場合の仕訳は、必ず摘要欄に「○月分○社相殺分」と詳細を記入しておくと、あとから調べるときに混乱が起こりにくくなりますよ。
まとめ
請求書の相殺は、事前に両者間で合意が得られていれば問題なく行なうことができます。ただし、請求書に相殺の事実を記載したり、領収書の発行を求められる場合がありますので、両者間で決めたルールに沿って処理をしてください。
また、相殺の仕訳を切るときも摘要欄にその事実を記載しておくことで、あとから見返したときに分かりやすいので、入力してみてはいかがでしょうか。