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退職の手続き〜新しい旅立ちを快く見送るために〜

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従業員が退職を申し出たときは、雇用主としてはなんとか引き止めたいところです。
ですが、職業選択は個人の自由。
会社側が辞めさせない「退職トラブル」が急増しているといいますが、無駄な争いは避け、快く送り出したいものです。

まずは、従業員の退職が決まったとき、何をすればよいかご存知でしょうか。
従業員を雇用する時の手続きがあるように、退職する際にも手続きが必要です。
これは従業員のためだけではなく、会社にとっても税金や社会保険料の関係上、必要な手続きです。
退職時に必要な手続きを覚えておくことで事務処理に悩む必要がなくなります。

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そのためにはどのようなことをすべきなのか、
会社側の立場で必要な手続きについて解説します。

退職時のルール

退職をするのは労働者の自由です。

多くの企業では、後任者の人選や仕事の引き継ぎに要する時間も考慮して「退職予定日の1か月前までに申し出ること」と就業規則に定めているのが一般的です。
民法という法律では「退職の日から起算して2週間(14日)前まで申し出ること」とされています。

退職に関する書面は、法的に提出が義務づけられているものではありませんが、
のちのちのトラブルを防ぐために「退職届」を提出してもらうのが慣例になっています。

口頭で「辞めます」と伝えるだけでなく、「いつ退職するのか」がわかる書面でも意思表示してもらいましょう。

これが従業員側の「自己都合(一身上の都合)退職」の場合です。

●労働条件通知書の内容と実態が異なるとき(時間外労働の強要、有給休暇の取得拒否など)
●賃金の未払い、一方的な基本給の減額などがあったとき
●職場でいじめやパワハラにあい、勤務できなくなったとき
●店舗の移転などで通勤が困難になったとき
●雇用主から直接・間接的に退職の勧奨を受けたとき
●本人に非がないのに解雇されたとき

以上のようなケースは「会社都合退職」となり、退職届がなくても即時退職することが認められています。

本人の勤務成績が著しく悪かったり、法に抵触するような不祥事を起こしたりしたときは、30日前に予告するか、平均賃金の30日分を支払うことで解雇することができます。
これを「予告解雇」といいます。
この場合は会社都合ではなく、自己都合退職です。

自己都合退職と会社都合退職は失業保険での「失業給付」にかかわってきます。
違いをしっかり認識することが必要です。

 

退職したときの手続とは?

雇用保険や社会保険に加入している従業員が退職する際には以下の手続きが必要です。
また、パートやアルバイトの方でも雇用保険や社会保険に加入している場合は、同様の手続きが必要になります。

雇用保険の手続き

退職した日の翌日から10日以内に雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークに提出しなければいけません。
退職者が離職票を希望した場合は雇用保険被保険者離職証明書も同時に提出します。
ただし、退職者が59歳以上の場合は希望の有無にかかわらず届け出を行います。

社会保険の手続き

健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届を退職した日の翌日から5日以内に事業所の所在地を管轄する年金事務所に提出します。
添付書類として、健康保険被保険者証を扶養家族の分も含めて提出を忘れずに。

住民税の手続き

住民税を特別徴収していた場合は、給与支払報告に係る給与所得異動届を退職日を含む月の翌月 10 日までに退職者の住所がある市区町村に届け出をします。
なお期限は市区町村によって異なる場合がありますので確認が必要です。

《注意点》
雇用保険関連の届け出には退職者本人の記名押印が必要な箇所があります。
提出書類は退職前に作成し記名押印してもらうようにしましょう。
退職理由もその時にきちんと確認しておきましょう。

 

退職したときに会社から渡す書類

従業員が退職したときに従業員に渡さなければいけないものは以下の通りです。

離職票

退職者が希望した場合に渡します。
失業保険給付してもらうために必要になる書類です。
次の勤務先が決まっている人には基本的に渡す必要はありませんが、本人が希望する場合には渡します。

雇用保険被保険者証

会社側が雇用保険被保険者証を保管している場合、退職時に渡します。

年金手帳

会社側が年金手帳を保管している場合、退職時に返却します。

健康保険被保険者資格喪失確認通知書

「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」の提出により発行される書類です。
もし退職者から国民健康保険への加入のために使用したい旨があればコピーを渡します。
通常は、別に健康保険被保険者資格喪失連絡票を作って渡す場合は、渡すこと必要はありません。

源泉徴収票

最後の給与支給日から1ヶ月以内に退職者に渡します。

退職証明書

退職者から請求があった場合に必ず作成しなければならない書類です。
転職先が本人の在職期間や賃金、退職理由などを確認するために提出を求めることが多く、請求された場合はすみやかに発行しなければなりません。
拒否したり、正当な理由なく発行を遅らせたりすると、労働基準法違反となり、罰金を科せられる場合もあります。
書式の決まりはありませんが、退職者が請求しない事項については記載しないことになっています。

退職したときに回収するもの

従業員は退職と同時に社員ではなくなります。
以下のものは必ず返却してもらいましょう。

健康保険被保険者証

健康保険証は退職する本人の分だけではなく、退職する人が扶養している家族の分も返却してもらいます。

社員証や身分証明書

社員証などの身分証明書・名刺などを発行している場合は、返却してもらいます。

自社からの貸与物

制服をはじめ、会社のお金で購入したものはすべて返却してもらいます。

まとめ

従業員の退職時の手続きに関して解説しました。
従業員の退職時には以下の事を忘れないようにしましょう。

  • 雇用保険・社会保険・住民税に関する手続きをする
  • 離職票や年金および健康保険関連の書類を渡す
  • 保険証や身分証明書は返してもらう

従業員が退職する際の手続きやその期限などを覚えておくことで、スムーズな手続きができます。
入社時同様に退職時の手続きもしっかり行いましょう。
入社時の手続きについてはこちらの記事をどうぞ。

入社時の手続き〜新しい仲間を迎えるために〜

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