会社で働いていると、恐ろしいほどの紙の書類で踊らされていませんか?
起業して会社を設立したばかりだとともかく、1年も経つと大量の書類の保管場所に悩まされることになります。
大企業では、1つの階が全て書類という状況で「書庫」というフロアがあるところもありました。
それにプラスして郊外に書類を保存する倉庫もあったりもします。
設立して間もない間はともかく、長くなってくると、外部倉庫を活用して書類の整理をするのが一般的です。
それくらいに、企業の紙の書類は増える一方です。
平成17年 (2005年) 4月に施行された「e-文書法」。
紙の書類を電子化できないものか、考えてみます。
会社の書類を紙で保存していませんか?
企業が長く続き、大きくなってくるとあふれてくる書類。
これらは企業を経営する上で必要な経理の書類です。
社内向けの書類(社内資料)もあれば、社外向けの書類(取引に関連する書類)など分類は多種多様。
その中でも、経理上一番大事な書類は国税関係帳簿書類です。
国税関係帳簿書類とは、国税関係帳簿または国税関係書類のことです。
具体的には、法人税法、消費税法などの国税に関する法律において定められた書類であり、
原則は紙で保存義務者が納税地にて備付け及び保存が必要になります。
国税関係帳簿
・仕訳帳
・総勘定元帳
・売上帳
・仕入帳
・固定資産台帳・・・など
国税関係書類
・決算関係書類(貸借対照表、損益計算書etc.)
・契約書・発注書
・納品書
・請求書・・・など
これらがなぜ保存が必要なのか・・・というと・・・。
・会社法
・法人税法などの
法律で定めらているからです。
でも、ちょっと待ってください!!
紙はこれからも重要な媒体ですが、これだけITが発達したのですから、電子保存という選択肢があっても良いと思いませんか?
電子保存なら部屋いっぱいの書類もサーバーに保存して、さらに、検索で一発で見つかるので、書類をひっくり返して探すこともありません。
平成17年 (2005年) 4月に施行された「e-文書法」によって、財務・税務関係の帳票類や取締役会議事録など、商法(及びその関連法令)や税法で保管が義務づけられている文書について、紙文書だけでなく電子化された文書ファイルでの保存が認められるようになりました。
また、元から電子データとして作成された文書だけでなく、紙として保存された文書をスキャンして画像ファイルとしたものに対しても、当法律において定めた要件を満たせば正規の文書として認められるようにもなりました。
本法の施行により文書・帳票類の保管にかかる諸費用が軽減され、企業間取引の電子化にいっそう拍車がかかるものと期待されています。
ただし、対象から外れる例外が税金関連です。
こちらは独自の別の法律があります。
損益計算書や貸借対照表などは、企業決算にかかわる一部の重要書類は法の対象から外されているため、引き続き紙文書としての保管が義務づけられていることには注意が必要です。
企業の経理書類の電子保管で押さえておくルールは2つです。
「e-文書法」と「電子帳簿保存法」と呼ばれる国税のルールです。
e-文書法によって「保存義務のある書面の電子化」が可能になりました。
基本的には税関連と、業界関連の特殊な規制を確認しておけば良いでしょう。
ここで気になるのが「大きな誤解」をしてないか、ということです。
すぐにスキャンして紙を破棄しよう!
こう思ってしまう方がいるかもしれないからです。
ですが、それはまだ待ってください。
まだそこまで簡単ではありません。
4つの要件があります。
1. 見読性
当たり前のことですが、表示されたものを人間が見て読めること。
2. 完全性
一部が欠けたり、後から変更されたりしないこと。
3. 機密性
不正アクセスから守られていること。
4. 検索性
検索できるように体系化されていること。
・特に2の完全性については税関連ではかなり高い水準を要求されているので注意が必要です。
電子化するために・・・。
・・・ということで、簡単に言うと以下の手順です。
ステップ1 電子化したい帳簿書類の対象可否と区分整理
ステップ2 国税関係帳簿書類の『帳簿』『書類』『スキャン』の各々の要件整理
ステップ3 国税関係帳簿書類の申請フローの確認
対応しているシステムで書類を作り(1万円~数百万円)、
法務省の電子証明書を購入して(2年で1万5千円)設定して保存。
スキャナは何でも大丈夫です。
これでほとんどの文書をパソコンに保存することができるようになりました。
意外とカンタンそうです。
次に、経理部を悩ます書類の本山、帳簿や税務関連書類です。
地方税は国税に準ずる取扱いとなっているので、「税関連」として解説します。
税関連では電子で保存することをスキャナ保存と表現しています。
対象は決算関係書類を除く全ての税務関連書類です。
帳簿に関しては通常のパッケージの会計システムを利用していれば問題なさそうです。
また、紙面で作成した書類の保存にはe-文書法の項目で記載した具体的な構成でスキャナ保存すれば問題ないです。
国税に問い合わせても、具体的な回答は期待できない項目ですから、要件を満たすかは社内で確認する必要があります。
ほぼすべて電子保存できるので、ここではスキャナ保存できず、紙で保存しなければならないものは「決算関係書類」とだけ押さえておきましょう。
決算関係書類は、事業報告や貸借対照表、損益計算書などがつづってある決算期ごとに作成するものです。
これは現状では電子化は認められていません。
税関連で電子保存する場合には国税に電子化開始の3か月前までに書類を提出して承認を貰う必要があります。
初めて記載される方は少し手間取る書類ですので、注意してください。
要件が比較的少ない一部の書類をパソコン等に電子保存するだけであれば、もっと簡単な方法もあります。
ただ、毎回、「これは紙」、「これはパソコンに電子保存」というようにしていると業務が複雑になり、ミスの元になります。
もし電子保存を導入されるのであれば、できれば全てを電子保存する方式でやりたいです。
書類に取られている場所の坪単価、外部倉庫の賃料、電子化による管理の簡素化を考えると、中堅以上の会社では電子保存で多くの経費削減ができそうです。
まとめ
・e-文書法によって「保存義務のある書面の電子化」が可能になった。
・すぐにスキャンして紙を破棄したらいいというわけではなく、4つの要件がある。
・決算関係書類は、現状では電子化は認められていない。
・法律とステップさえおさえれば、ある程度の書類の電子保存は可能。
ご質問がございましたら、下記フォームからお問い合わせください。
電子保存で何かお困りの際にはお気軽にご連絡ください。