今般、「働き方改革」で掲げ全社的に業務効率化を推進する企業が増えていますが、その一方で効率化を意識するあまり「資産保全」(内部統制の目的の一つ)を蔑ろにするケースも増えています。
また、質の低い業務改善は一時的に効果があっても不正を起こりやすい環境につながり長期的には経営にブレーキをかけてしまうことがあるため、業務改善をすすめる際は効率化だけではなく内部統制を意識する必要があります。
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【内部統制とは?なぜ必要なの?】
内部統制とは、経営者及び従業員が業務の適正な遂行を確保することであり、以下の4つの目的があります。
知っておくべき「内部統制」の4つの目的
- 業務の有効性・効率性
- 財務報告の信頼性
- 法令等の遵守
- 資産保全
以上の目的を達成することで経営者が安定して事業を前に進めることができ、また従業員の働きやすい環境をつくりだすことができます。
内部統制ができていないとどうなるのか?
内部統制の4つの目的のうち「資産保全」への取り組みが十分にではない企業は、不正が起こりやすい経営環境と言えます。不正といっても、情報漏洩や不正会計などさまざまですが、中でも一番発生件数が多いのは「横領」です。
このようなお話をすると
「いやいや、うちの会社の経理担当者は信用できるから大丈夫だよ。」
と、誰もがそのように思っていながら不正を目の当たりにして
「そんな人ではなかった…」
「高い勉強代だった…」
と言うのです。
不正が起きにくい環境を整えることは経営者の役割の一つです。
まずは、以下のチェックリストで会社の経営環境の現状についてしっかりと把握しておきましょう。
経理で不正が起きやすい会社の特徴
- 経理担当者が1人
- 経理業務がブラックボックス化
- 承認フローの欠如
- 経理部の適切な評価ができていない
- 特定の人に権限が集中している
- 現金、通帳、手形等が適切に管理されていない
- 帳簿の記録が遅れている
いかがでしたか?
一つでも該当するものがあれば経理業務の見直しをおすすめします。
ダメな業務改善は経営の質を下げる
業務改善はしっかり手順を踏んですすめることで十分に効果を発揮しますが、冒頭でお話したように「質の低い業務改善」をすすめてしまうと経理環境の悪化につながり、ひいては不正を助長することとなります。
これから業務改善を検討している企業の担当者又は、すでに業務改善を進めている企業の担当者は質の悪い業務改善にならないように注意しましょう。
質の低い業務改善
- 部分最適を最優先
- 必要のない業務にこだわる
- なんでもかんでもIT化
- ツールの導入が目的化
- 目的のない情報収集
- 誰も見ない「見える化」
- 業務フローの過度な省略
不正防止のためにおさえておきたい3つポイント
①事前に不正を発見・防止をための業務設計を行う
業務改善の目的を明確化すると同時に専門家による不正の発見・防止のための業務設計を行う
②透明性の高い運用
業務を細分化し担当を分けることでチェック機能を持たせる(場合によっては外部に業務委託)
③不正が早期発見できるしくみづくり
トップダウンでチェック機能を考え実行するのではなく、社員が自らチェック体制の構築(部分的でも可)すると効果的
まとめ
業務改善は、進め方次第では良い影響だけではなく悪い影響を及ぼすこともあります。
内部統制を意識して業務改善をすすめることで不正のない経理環境を作ることができるでしょう。
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