会計ソフトを選ぶときに必要なのは「会計ソフトを使ってどうしたいのか」という軸です。
しかし会計ソフトを選ぶときに明確なビジョンを持って決定している会社は少ないのも事実。
なぜなら会計ソフトで経理業務が効率化できるなどといったことを知っている人の方がまだまだ少ないから。
この記事では現状会計ソフトがどのような経緯で意思決定されているのか、会計ソフトの種類にはどんなものがあるのか、会計ソフトを比較するときに見るべきポイントを詳しく解説します。
Contents
そもそも会社の会計ソフトを決めているのは誰?
まず会計ソフトについて解説する前に、一体会計ソフトは誰がどのようなプロセスで決めているのでしょうか。
経理担当者が会計ソフトを決める
会計ソフトを1番操作する機会がある経理担当者が決めるというパターン。
近年の会計ソフトは経理業務を効率化できるものがあります。
しかし経理担当者が経理業務の効率化などに意識が向いておらず、自分が使い慣れている会計ソフトのクラウド版を選ぶ場合も。
本当は他の会計ソフトの方が会社全体の業務効率化につながる可能性があるものの、そのほうが新しい仕組みを覚えたり経理プロセスを変更する必要がないためです。
もちろん全体の効率化まで考慮して会計ソフトを選ぶ担当者もいますが、経理担当者が会計ソフトを選ぶとこのようなデメリットがあるため見極めることが大切です。
顧問税理士が会計ソフトを決める
意外と多いのが顧問税理士が会計ソフトを決めているパターンです。
経営者が顧問税理士に「会計ソフトってどれを選べばいいの?」と相談し、提案されたものを取り入れることがよくあります。
顧問税理士に会計ソフトについて相談することは全く問題ありませんが、注意したいのがその会計ソフトをすすめている理由。
おすすめされた会計ソフトで「経営分析ができるから」「経理業務の効率化につながるから」といった理由であれば問題ありません。
しかし「顧問税理士が使いやすい会計ソフトだから」といった理由で提案してきているのであれば注意してください。
本来であれば会計ソフトを使って業務を効率化できるところ、このような理由で効率化するチャンスを逃しているかもしれません。
経営者が会計ソフトを決める
経営者が創業時に操作性が良かったものを選んでいるといったパターンも多いです。
この場合は創業時の会計処理が少ないときに選ばれているため、それから数年経ち経営が安定してきている今では機能が物足りなくなっている場合も。
またこれまで経営者が創業時に選んだ会計ソフトだからという理由で、同じ会計ソフトブランドのパッケージ型からクラウド型に乗り換えるパターンも多くあります。
どんな会計ソフトがある?
では次に会計ソフトにはどのような種類があるのか詳しくみていきましょう。
各種類ごとに特徴があるので会計ソフト選びの参考にしてください。
パッケージ型
パッケージ型とは特定のパソコンにインストールして使う会計ソフトのこと。いわゆる従来型の会計ソフトです。
メリットはインターネット回線に依存せず運用が可能。また会計ソフトといえばパッケージ型という時代が長く続いていたため、使用者数が多くベンダーのサポート体制も充実しています。
一方デメリットはインストールしたパソコンしかソフトを利用できないなど使用デバイスが限られていること、ソフトアップデートごとに新しいバージョンを購入・手動でアップデートが必要で手間がかかることがあげられます。
クラウド型
クラウド型の会計ソフトはインターネット経由でベンダーのサーバー上にある会計ソフトを利用します。
特徴は簿記の知識がなくても直感で操作しやすいUIになっていることと、インターネットバンキングなどと連携させておくとデータを自動取得できること。
また、月々料金を支払って利用するのもクラウド型の特徴です。アップデートするたびにソフトを購入したりインストールし直す手間は必要なく、ユーザーはいつでも最新の状態でソフトを利用できます。
さらにIDとパスワードさえあればほとんどのデバイスでログインが可能。
デメリットはインターネット回線を利用するため動作が遅くなることがあることがあげられます。
ERP型
EPRとはEnterprise Resource Planningの略。
バックオフィスを効率化するという目的で営業、人事、経理などの業務ソフトを統合したものです。
ERPではデータベースで各部署のデータを一元管理するため全社で情報共有しやすいことが特徴。
デメリットは独自のシステムを開発することも多く費用が高額なこと。
そのため大企業での導入がメインとなっていましたが、最近ではクラウド型ERPの登場もあり中小企業でも導入している事例もあります。
会計ソフトを比較するときにチェックするべき6つのポイント
会計ソフトをパッケージ、クラウド、ERPにするのかが決まったら具体的な製品を比較していきましょう。
ここからはそのとき必ずチェックしたいポイントを解説します。
法人向け会計ソフトか
会計ソフトと検索すると個人事業主やフリーランス向けの会計ソフト・プランも出てきます。
必ず現在「形」にあった会計ソフトを選択しましょう。
価格
価格が機能に見合っているか、いくつか比較しながら検討しましょう。
買い切りのソフトや毎月利料を支払うものがあります。
また、アップデートが有償なのか無償なのか最初に確認しておくことも大切です。
UI・操作性
たとえばクラウド会計ソフトは簿記の知識がなくても操作できるものもあります。
一方簿記の知識がある担当者からすると使いづらい場合も。
ほとんどの会計ソフトは無料体験ができます。まずはトライアルでUIや操作性を確かめましょう。
セキュリティ
たとえばクラウド会計ソフトfreeeを例にあげると、以下のようなセキュリティ対策が取られています。
- 通信の暗号化
- 保存データの暗号化
- ログイン試行回数の制限
- リンクベース認証
- TRUSTe の認証を取得
- 情報セキュリティ情報を扱う組織より情報を入手
- McAfeeの脆弱性診断を受診
100%情報漏洩するリスクがないとは言い切ることはできませんが、リスクを限りなく0に近くすることは可能です。
パッケージ型であればインターネット経由で情報が漏れるリスクは低いですが、パソコンの盗難や火災などによるデータ紛失のリスクがあります。
対応デバイス
ソフトをインストールしたパソコンのみ使用できるもの、IDとパスワードさえあればパソコン・タブレット・スマートフォンなど端末を問わず利用できるのものがあります。
自社の運用実態に沿っているか確認してください。
サポート体制
- 電話対応あり
- メール対応あり
- チャット対応あり
などサポート体制も会計ソフトベンダーによって異なります。
パッケージ型は手厚い電話対応をしてくれることが多く、クラウド型はチャット対応などオンラインでの対応の場合が多いですよ。
まとめ
近年の会計ソフトはただの記帳ソフトではなく、経理業務を効率化できるツールでもあります。
自社が会計ソフトに何を求めているのかを明確にし、会計ソフトを比較して選んでみてくださいね。