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減価償却の基本ー減価償却できる資産・できない資産、計算方法・仕訳

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「固定資産を購入すると減価償却をしないといけない」そう知ってはいても、具体的に何をどうすればいいのかわからないという方もいますよね。

今回は減価償却の初心者の方に向けて減価償却の基本について解説していきます。「減価償却となる資産は何?」「どうやって計算するの?」といった疑問を解消し、減価償却に対する苦手意識をなくしていきましょう。

減価償却は法律によって定められている部分が多いため「いつ・どんなときに法律を確認すればいいのか」ということがわかっていれば、比較的簡単に計算をすることができます。

この記事には国税庁のリンクも掲載していますので、確認しながら読み進めてみてくださいね。

 

減価償却とは

減価償却とは、減価償却費を計上することで固定資産の価額を減らし、適正なタイミングで費用化していくことを指します。

減価償却はなぜ必要なのか

減価償却は固定資産の価値を適正化するために行なわれます。固定資産の中には、時間が経つにつれ価値が下がっていくものがあります。

新車と中古車では、購入するときの値段も変わってきますよね。新しい物の価値が最大値で、古くなればなるほど価値は下がっていきます。使用した分だけ摩耗もしていきますし、新しい機種が発売されていれば相対的に古い機種の価値は減少します。

このように、時間が経つにつれ価値の下がっていく資産の額を減らし、それに合わせて適正に費用化を行っていく。減価償却はそのような仕組みになっているのです。

減価償却ができる資産

事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産といいます。他方、土地や骨とう品などのように時の経過により価値が減少しない資産は、減価償却資産ではありません。

参考:国税庁|No.2100 減価償却のあらまし

上記からわかる通り、減価償却は事業の用に供する資産に対して行われます。下記がその一例です。

  • 建物
  • 建物付属設備
  • 構築物
  • 機械装置
  • 車両運搬具
  • 器具備品
  • ソフトウェア

また、下記にある通り、事業の用に供する上記資産の中でも耐用年数が1年未満、または取得価額が10年未満のものは一括で費用化できるため、減価償却を行う必要はありません。

1 使用可能期間が1年未満のもの又は取得価額が10万円未満のものは、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費とします。

要するに、事業の用に供しかつ耐用年数が1年以上又は取得価額が10万円以上の資産が該当することになります。

減価償却できない資産

前述の文章を引用すると、減価償却できない資産とは事業の用に供さないもの、耐用年数が1年未満のもの、取得価額が10万円以下のものということになります。

そもそも前者は事業のものではないため購入時に企業の支出とすることができず、また後半は一括で費用化できるため、減価償却を行う必要がありません。

それとは違った理由で、固定資産であっても減価償却できない資産があります。それには下記のようなものがあります。

  • 土地
  • 骨とう品
  • 美術品

これらの資産は年月が経過したとてその資産価値が減るような種類のものではありません。そのため、減価償却の対象外となっています。

減価償却の方法

減価償却費は、資産の価額に償却率をかけて求めることができます。算出した額を耐用年数の間、毎年仕訳計上することで資産価値を減らし費用化していきます。そのときの勘定科目は「減価償却費」と呼ばれています。

定額法と定率法

減価償却の方法には、定額法と定率法の2つがあります。

定額法とは、毎年同じ額を減価償却していく方法のこと。一方、定率法とは、毎年一定の率をかけて償却する額を算出していく方法のことです。

法人の場合は、建物やソフトウェアなどは定額法で減価償却を行う必要があります。しかし、機械装置・車両運搬具・器具備品は定率法と定額法から選ぶことができるようになっています。

耐用年数について

耐用年数とは、その「固定資産が何年間使用に耐えられるものなのか」を表した年数です。法律により、資産ごとに年数が決められています。下記耐用年数表で確認するようにしましょう。

参考:国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表

計算方法と仕訳

減価償却費は下記計算式にて求めることができます。

定額法:資産の取得原価×償却率

定率法:資産の期首残存価額×償却率

定額法と定率法の償却率は下記償却率等表を参照するようにしましょう。

参考:国税庁|減価償却資産の償却率等表

 

減価償却費の仕訳はこのようになります。

借方:減価償却費  /  貸方:資産

 

中小企業の特例について

基本的に固定資産は減価償却を行うことで費用化をしていきます。

しかし、中小企業には特例で取得価額30万円未満の固定資産を一括で費用化することが認められています。一度に費用化を行うことで所得を減らし、節税につなげることができます。適用対象法人など、さまざまな要件を満たしている必要があるため、最新の情報は下記国税庁のホームページでご確認ください。

参考:国税庁|No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

まとめ

減価償却は経年劣化に伴う固定資産の価値の減少を適正に費用化するための方法です。

一見むずかしいことのように思えますが、計算方法や対象となる資産が明確に法律で定められているため「法律を確認しながら作業をする」というポイントさえ外さなければ恐れるようなものではありません。

新しく固定資産を購入した際は、法律をもとに耐用年数や償却率を確認するようにしましょう。

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